令和8年3月25日、大阪フェスティバルホールは、最高の拍手と喝采でコンサートのフィナーレを迎えた。
「再びもとの細道で」と題された、布施明のライブは、いつもながらの圧巻の歌唱に観客は酔いしれた。
午後6時、緞帳が上がりバンドの演奏は、たちまち布施ワールドに導いてくれた。耳になじみのあるメロディだ。その曲を歌って始まるのかと思いきや、彼がステージ奥から現れ、演奏されている曲も変わった。それが1曲目の歌だった。聞いたことはなかったが、メッセージは十分に伝わった。
その後、軽妙なトークを挟みながら、ラテン系や例の特別な曲を二拍子にアレンジしたものや洋楽と数々の楽曲を迫力の歌声で歌っていく。相変わらずのクリアで真っ直ぐに心に染みこんでくる声。衰えは微塵も感じさせない。曲が終わるごとに拍手と歓声の渦が巻き起こる。観客はすっかり、彼の歌の世界にどっぷりと浸っている。
名物コーナーもおなじみだ。本人曰く、「続けているコーナーだけど、評判は今ひとつ」ということだが、私にはとても好きなひとときだ。ちょっとした一人芝居も気に入っている。ストーリーに絡めた大好きな曲も、小道具による扮装と共に披露してくれた。会席料理に例えたら、箸休めに相当する部分かもしれないが、それが後半からフィニッシュに至る助走的な役目も果たしているように思える。
さて、待ってましたのヒットメドレー。「たっぷりと、、、短めにやりたいと思います」なんて言っていたが、十分堪能させてもらった。口ずさめる曲ばかりだから、高揚感をもたらしてくれる。私が勝手に歌の師匠と仰ぐのは、それらの曲とめぐり逢い、カラオケのない時代から、レコードをかけて大声で歌ってきたからだ。B面の曲達の中にも好きな歌がいっぱいある。カラオケになってない曲も多いので、そこは残念だが。
78歳、マイク無しの歌唱も健在だ。ホールの空間全体に響き渡った。またまた拍手大喝采!
バンドの紹介。誰もが知るメロディを、ソロ演奏を交えながら進行する。その間、本人は舞台袖に消えている。巧みな演奏が何とも言えない心地よさで染み入ってくる。彼を支える素晴らしい演奏者たち。その存在の大きさを再認識する時間が流れた。そして、布施明が登場して、各演奏者を紹介する。お約束のギャグは、今でも皆の期待と共にあって、受けている。
いよいよクライマックスに近づく。歌い上げる素晴らしい歌唱が続き、ブラボー兄さんやブラボー姉さんの掛け声が、拍手の渦の中でひときわ大きく飛び跳ねていた。拍手の勢いもパワーアップしていく。最後の曲を歌い終え、彼が舞台袖に消えた。当然、拍手は鳴り止まない。
アンコールに応えるべく、再び舞台に登場。黒のジャケットを白に着替えて現れた。拍手は最高潮!
今の彼にピッタリのあの曲を歌い始めると、またまた拍手と大歓声!おそらく、各々が自分の人生を振り返る効果も相まって、感動を呼ぶに違いない。
そして、いよいよ最後の最後。これまた相応しい楽曲だ。声に疲労感は感じない。これこそ圧巻のエンディング。ポーズも決まって緞帳が下りる。大拍手と大歓声が続く、、、。
涙を拭うご婦人方があちこちに。隣に座る妻も例外ではなかった。
どれ程の鍛錬を積み重ねて、このような素晴らしいパフォーマンスができているのだろうと、思いを馳せると、とても並大抵のものではないことは容易に想像できる。
「細道」とは、彼特有の控え目さによるものだろう。可能な限り、どこまでもいつまでも、布施ワールドに、私たちを連れて行ってほしいと願う。
Bravo!!!